種苗法改正で危ぶまれる食の安全

2020年12月2日 参議院本会議で種苗法改正案が可決されました。このことによって私たちの食にどのような影響があるのか 元農林水産大臣 山田正彦さんの学習会でお話を聞きました。

私たちが主食であるコメ・麦・大豆を気候変動などに左右されずに収穫できるようにと、各都道府県にその土地に適した優良な品種の種を提供してきた「種子法」が2018年に廃止されて2年が経過しました。今回の種苗法改正で、これまで自家栽培してきた苗が登録品種である場合、自由に自家採取できなくなります。農水省は、ほとんどの農作物は輸入のF1であるから影響はない としていますが、山田氏によると40%以上が自家栽培であり、今後農家は日本モンサント、三井化学アグロなど民間の苗を買わねばならず、農家にとっては痛手です。

また、ゲノム編集された品種を流通させることも計画されています。ゲノム編集とは作物の遺伝子を変える技術で、外から新たに遺伝子を挿入する遺伝子組み換え植物とは違いますが、遺伝子組み換えの延長であるという説もあり、細胞の中でバランスをとっている遺伝子が壊されると毒性をもった違う物質が生まれる危険性もあるとされ、安全性の確認できていない技術です。2023年には遺伝子組み換え、ゲノム編集された作物を表示しないという方向にあるとのこと。消費者に情報開示されなければ、選ぶことができません。このように自家採取禁止の国はイスラエルと日本だけとのことです。

他国に種子や苗を依存していると、コロナのような有事が起こった場合食料が確保できないことが証明されました。各都道府県で食料を確保するためには小規模の農家をつぶさない政策が必要です。

山田氏は、私たちにできることとして、各地方自治体で審議会を作って審議し、県議会に諮り住民投票で条例を作ればこれまで通り農家が自家採取できる、地方分権により農業と食の安全を守ることができるとのことです。多国籍企業と大企業の利益を優先し、食料自給率、環境保全、国民の食の安全を守らない国に対して闘うべきとのことです。

学習会で、ネット神奈川県議会議員佐々木ゆみこさんによれば、「これまで県に対して種苗法に対する条例の可能性を指摘してきたが、県は国の決めたこととして、動かない」とのことで、市民が何より今後の安全な食糧確保を望んで行動することが大切と再認識した学習会でした。

種苗法学習会