小中学校で道徳が教科になることの問題点
2018年4月より、全国の小学校で、2019年4月より中学校で道徳が教科になります。教科になるということは、文部科学省認可の検定教科書が使われ、今年8月に各都道府県で教科書採択が行われます。川崎市でも、7区の市民館、教育文化会館などで、一般市民への閲覧が行われ、麻生区の閲覧に行ってきました。
これまで、道徳は副読本を
使って教師の指導に任されていましたが、教科になると、検定教科書が使われ、評価が生じてきます。現在、道徳教科書として、検定される対象は8社あり、1年生から6年生まで、それぞれ「自分自身に関することでは、うそをついてはいけない。物を大切に。わがままを言わない。人とのかかわりでは、友達と仲良く、感謝をする。集団や社会とのかかわりでは、決まりを守り、父母、祖父母を敬愛する。」など、一見正しいことを言っているかに見えますが、価値観をただ押し付けているにすぎません。「かぼちゃのつる」の物語が8社すべてに載っていますが、どんどんのびるかぼちゃのつるを”わがまま”とし、車に傷つけられ
て、わがままはいけない と教えています。その他、教育出版社では、1年生に挨拶の仕方を教えていますが、正しいあいさつはどれでしょう?①おじぎをしてから「おはようございます。」という。②「おはようございます」といってからおじぎをする。③「おはようございます。」とあいさつを同時にする。正解は②とのことです。その他、安倍首相が載っている、国旗について称える記述がある、など問題の多い教科書もあります。中央教育審議会の答申では、道徳教育は「教育の中核を」とされ、道徳のみならず、算数、国語など他教科にまで道徳の考え方を反映させることになります。
安倍政権は、安保法制をつくり、共謀罪法案を通過させ、道徳の教科化により、強い国日本をつくるため、「グローバル競争に勝ち抜くために大企業が求める人材育成」と、「国防軍とそれを支える人材育成」をめざしています。
個人の人権をまもり、命を大切にする現憲法に反する道徳教育について、市民が関心をもち、教科書検定についてそれぞれが意見をもち、各自治体につきつけることが今求められます。横浜市では、中田宏市長の時に、右寄りの教育委員が指名され、小学校の公民の教科書が育鵬社となってしまいました。名古屋市では、この8月に育鵬社の公民の教科書の編集に携わった人たちにより作成された教育出版の道徳教科書が採用されました。
川崎市では、8月に教科書検定の会議が教育委員会で行われます。教育委員は6人、市長の指名により選ばれます。川崎市では、憲法を理解し、市民感覚の教育委員を選ぶ市長を10月の市長選では選びたいものです。
教科書検定の教育委員会には、多くの市民が傍聴し、市民の関心が深いことを示しましょう。ネットはそのための情報提供を今後も行っていきます。