若年認知症グループ どんどんで 仲間づくり
若年認知症グループ「どんどん」のボウリング大会が武蔵溝ノ口のムサシノボウルで行われ、活動の様子を見学させていただきました。「どんどん」は川崎市で、若年認知症の支援をしている団体で、このような団体はまだまだ少なく、全国連絡協議会が3年前にできたとのこと。神奈川ネットワーク運動の市民社会チャレンジ基金に5年前応募され、基金でTシャツを作成され、利益を若年認知症の啓蒙と、活動資金に充てられています。この日は、利用者、家族、サポーターの方々でにぎやかにゲームが行われ、皆さんが一体となってともに楽しんでおられました。
ゲームの合間に皆さんにお話を伺いました。
若年認知症とは、18歳から64歳で発症する認知症を言い、その数は厚生労働省の発表によれば日本全国で38,000人ですが、実際はもっと多いとのこと。「どんどん」では毎月ハイキングや交流会など企画し、家族ぐるみで参加され、ご本人、ご家族ともに交流や情報交換の場となり、ここでの出会いからつながりが生まれているとのことです。「どんどん」とは、どんどん出かけて、どんどん仲間を作ろうという意味がこめられているとのこと。
若年認知症は、介護保険が適用され、普段はデイサービスに通われている方が多いのですが、高齢者対象のデイでは、まだ若い若年認知症の方にとって、必ずしも適した居場所になっていないとのこと。若年認知症は、高齢者の認知症とは違うし、統合失調症などの精神障害とも違い、介護保険制度と障害者制度のはざまにあり、患者や家族を支える適切な制度がないとのこと。最近、障害者の「ふれあいガイド」が若年認知症に適用されるようになったのは明るい兆しとのことです。
ご家族に話をききました。
Mさん:67歳の奥さんが、57歳で発症。駅の待ち合わせに来ないのでおかしいと気づく。症状が軽く一人で行動できた10年前は、支援団体や施設はなかった。現在家事はできず、日中何もすることがなく過ごしている。
Yさん:ご主人が60歳すぎに海外勤務の時発症したため、気づくのが遅れ、帰国されてほどなく病気で亡くなり、サポーターとして参加している。
Hさん:ご主人が7年前53歳で発症。職場から仕事ができないと連絡があり気付いた。奥さんが仕事に行っている間、一人で在宅。2万~3万歩もどこまでも歩いていってしまい、警察や本人から電話があり迎えに行く。ドコモの迷子登録をしている。どんどんは川崎市の講演会で知り、参加するようになった。
Sさん:夫が8年前51歳で発症。頭痛で脳神経外科にかかりアルツハイマーと分かる。現在介護度4。週5回デイに通い、月12回ショートステイを利用。おむつをしているが、おむつの無料支給は65歳からなので全額自己負担。サポーターさんによると、若くして夫が発症したSさんは、介護のかたわら家計を支えているので、厳しい生活とのこと。
サポ―タ―Oさん:川崎市は若年認知症の患者数を把握していない。
〃 Wさん:高齢者のデイサービスは定員に空きがある。若く、体力もある若年認知症の方たちの居場所として適切なところがなくまだまだ対策は遅れている。
私たちにも、いつかかるかもしれない若年認知症。明るく支えておられるご家族の姿に感動しました。ご本人と家族を支える制度をさらに充実させ、若年認知症についての正しい理解を市民の中に広げることが必要と考えます。