マイケアプランーー自分らしさを老後もずっとーー

2014年8月7日 00時19分 | カテゴリー: 活動報告

私たち誰にも訪れる「老い」。ずっと元気でいたいけれど、いつか介護が必要になるかも知れず、介護は厄介な期間と思っていました。

ところが、8月開かれた、神奈川ネットワーク運動勉強会「マイケアプラン」では、いざその時にあわてず、自分も、家族も、そして介護者も気持ち良く、その人なりの生き方を尊重した延長線上に介護がある、というお話でした。家族の介護を実践中の人も、これからどうする、と心配な人、そうならないように予防だ、と思っている人も、すべての人が知っておくと、こんな風に身近な事なんだ、と発想の転換ができる介護の考え方がマイケアプランです。

お話くださったのは、「全国マイケアプランネットワーク」。2000年に「ケアプランを自分でたてよう」と朝日新聞に投稿したことがきっかけで発足。生活の根幹にかかわる大切なことを当事者が自分で考えたいと市民、福祉、医療専門家も交えて介護現場を当事者側から発信している団体です。

40歳以上の人が払う保険料と国の税金でまかなう介護保険は2000年の導入時、3.5兆円だったのが、12年後には8.9兆円へと費用が膨れ上がっています。当初の介護保険制度の仕組みは大幅な手直しを余儀なくされ、給付抑制に必死の政府ですが無理もありません。2012年には老人1人に対し若者2.4人と制度そのものを支え切れなくなっている現実があるからです。そんな中、制度変更に追われるあまり受益者のことを考えない、考える余裕のない事業者も多く、受益者はともすると介護を受けるのだから、と自分の暮らしを制度に合わせてしまいがちです。

マイケアプランでは、「いざというときどうしてほしいのか」、「どんなふうに生きたいのか」という「自分中心」な考察を推奨し、そのためには自分の過去、自分はどんな風に生きてきたか、現在、自分自身のトータルな棚卸しをしてみることを勧めています。過去と現在を自分で把握したら、次にいざというときの将来のケアプランに結びつく「今後の自分、生活設計」もしておけば、いざというときにも安心です。

人は幾つになっても「人生の主役は自分」、たとえ介護が必要になっても「自分らしい人生を送ることができるようにしておくこと」がこのマイケアプランのコンセプトです。介護の「やってもらう」だけのマイナスイメージを転換した発想は柔軟な思考の積み重ねを経て、ワークシートで基礎から無理なく表現できる工夫がなされています。

また、マイケアを実践することが結果的に介護費用抑制にも効果をもたらす、という指摘もありました。今のところはケアマネージャーなどの専門家にプランを作成してもらう場合がほとんどですが、この団体では既に自分でケアプランを作成するための支援ソフトも開発し、毎月の事務作業が簡単にできるように手助けをしています。因みにこの作業には患者側の負担はゼロですが介護保険から費用が支払われています。

老いても、「丸投げにしない、私らしい老後を暮らしたい」という当たり前だが、ないがしろにされやすい介護の現場で、自分らしく生きるために、を大切にした優れたプランだと感心しました。市民が中心になり制度をしっかり自分側に引きよせ自分の生活のために制度がある、と実践するのは、お仕着せを排した市民のための政治を実現する、ネットの政治理念にも相通じます。